編入試験の併願戦略|本命校と併願校の組み合わせ方

編入試験

令和8年度の3年次編入試験で、神戸大学理学部化学科と東京農工大学工学部応用化学科に合格しました。

編入試験において、「不安だからとりあえずたくさん受ける」という戦略はおすすめしません。受験料や交通費が莫大にかかるだけでなく、受験校を増やしすぎると過去問対策の手が回らなくなり、結果的に「全部中途半端になって全落ちする」という最悪の事態を招きかねないからです。

自分が気になっている大学を「いかに戦略的に組み合わせるか」が、合否を大きく左右します。

今回は、私自身の失敗談も含めて、併願校(滑り止め・練習校)を組み合わせるための具体的な戦略をまとめました。

志望校の選び方については、以下の記事をご覧ください。▼

編入試験、そもそも何校受けるべき?

私自身は、2校(東京農工大学・神戸大学)を受験しました。

SNSで見かける合格者に関しては、だいたい3校以内に絞って受験している人が多い印象です。1校に絞って対策している人も多く、4校以上受験している人はほぼ見たことがありません。

編入試験は、大学ごとに試験科目・出題傾向・提出書類などが全く異なります。1つの大学の過去問を深く分析するだけでも相当な時間を奪われ、さらにそれぞれの大学で面接があるため、現実的に対策できるのは3校が限界だと思った方がいいです。

併願校を賢く決める4つの戦略

戦略①:試験科目の被り

併願校を選ぶ上で一番重要なのが、科目の相性です。ここで、私の率直な失敗談をお話しします。

私は以下の2校を受験しました。

  • 東京農工大学(併願): 数学(筆記)、英語(筆記)、化学(口頭試問)
  • 神戸大学(本命校): 英語(TOEICスコア提出)、化学(筆記)

練習校として農工大を選んだはずが、英数の筆記試験と、想像もつかない「口頭試問」という重たい科目が課されていました。

本命である神戸大学は「TOEIC提出+化学の筆記」というシンプルな構成だったため、本来であれば、併願校もそれに合わせてTOEIC提出と化学の筆記で受けられる大学を選ぶべきでした。

結果的に、本命校には必要ない英数の筆記対策や口頭試問の練習にかなりの時間を割くことになり、かえって併願校の対策の方が困難でした。

【教訓】
併願校は、「本命校の試験科目と完全に一致している」か、「本命校の科目の一部だけで受けられる」大学を必ず選んだ方が合格確率が上がります。最も重要なことは、本命校に受かることです。滑り止めのための余計な勉強を増やしてはいけません。

戦略②:試験日程

試験日程の組み合わせも重要です。最も優先すべきなのは、当然「第一志望校で最高のパフォーマンスを発揮すること」です。

理想的なスケジュールは、本命校の1週間〜1ヶ月前に併願校の試験があることです。
専門科目の筆記試験や、教授陣に囲まれる面接・口頭試問の異常な緊張感は、本番でしか味わえません。これを事前に体感し、場慣れしておくことはかなり大きなアドバンテージになります。

私の場合、この観点では併願校の組み合わせがうまくいきました。

  • 東京農工大学(併願):6月25日
  • 神戸大学(本命校):7月5日・6日

農工大の口頭試問で信じられないほどの緊張感を味わったことで、本命校の前に、本番ならではの凄まじいプレッシャーを体感することができました。農工大の試験が終わった日の夜は大号泣するほどでしたが、今になって考えるとその経験によりかなり強い耐性がついたことも、本命校の合格要因の1つだと考えています。

【注意点】
ただし、日程があまりにも近すぎると、移動の疲労や、前の試験の合否への不安から、本命校の直前に体力と気力を大きく削ぎ落とすことになります。適切な間隔が空いているか、必ずカレンダーで確認しましょう。

戦略③:リスクヘッジ

もしあなたが、「今の大学の環境がどうしても合わない」「絶対に今の大学には残りたくない」という強い動機で編入を目指しているなら、自分が確実に受かる安全圏の大学を必ず1校は視野に入れてください

「せっかく編入するなら、今の大学よりも上のレベルへ一発逆転したい!」と強気で挑みたい気持ちは痛いほどわかります。

しかし、編入試験を経験した私としては、編入は運の要素も強い試験だと考えています。

  • 定員が極めて少ない: 募集要項に「若干名」と書かれている場合、合格基準に達していなければ「その年の合格者はゼロ」ということも普通に起こります。
  • 問題の傾向に左右されやすい: 科目数が少ないため、たまたま自分が手薄にしていた分野や、マニアックな問題が1問出ただけで、合否が大きく揺らぎます。

どれだけ勉強して実力をつけても、その年の問題の巡り合わせ次第でアッサリ落ちてしまうのが編入試験の恐ろしいところです。

「もし第一志望校に落ちたら、また今の大学で2年間過ごさなければならない」というプレッシャーは、本番の試験会場で想像以上にメンタルを削り、焦りを生みます。

だからこそ、「最悪、第一志望に落ちても〇〇大学には行けるだろう」という安心感を1つ確保しておくことが、結果的に本命校の試験でリラックスして100%のパフォーマンスを発揮することに繋がると思います。

【補足】
逆に、「第一志望に受からなかったら、今の大学に残って3年後に外部院試でリベンジすればいいや」と割り切れる人は、無理に安全圏の大学を受けず、本命校や挑戦校のみに絞るのも一つの戦略です。

自分の編入の目的に立ち返り、全落ちした時のダメージをどこまで許容できるか、冷静に判断して組み合わせてみてください。

戦略④:過去問の入手難易度と解答の有無

編入試験において、過去問は最大の武器ですが、大学によって扱いがかなり違います。

  • 解答付きでホームページで無料公開
  • 問題のみホームページで無料公開
  • 郵送でしか請求できない
  • 窓口での閲覧(コピー不可)しか許可していない

など、公開範囲や入手難易度が大学によって様々です。

滑り止めや練習校として受ける場合、過去問がネットで簡単に手に入り、傾向が掴みやすい大学を選ぶのがおすすめです。
併願校の過去問集めや解答作りに膨大な時間を奪われてしまうと、本末転倒になってしまいます。そのため、HPでサクッと過去問が確認できる大学や、ネット上で解答が出回っている大学を併願校に選ぶと、対策の負担を大幅に減らすことができます。

最後に伝えたいこと

ここまで戦略的な併願校の選び方を熱く語ってきましたが、最後にもう一つだけ大切なことをお伝えします。

それは、学問の内容やカリキュラムに魅力を感じ、自分が心から受けたいと思っている併願校があるのなら、戦略よりもその気持ちを優先していいということです。

私自身、東京農工大学を併願校として受けたことは、試験科目の被り(英数や口頭試問があること)という観点から見れば、決して上手い戦略とは言えませんでした。対策に苦労し、結果的に自分の首を絞めることになりました。

しかし、それでも最後まで心が折れずに頑張り抜き、合格を掴み取ることができたのは、「農工大のこの研究やカリキュラムに興味があるから行きたい」と思える魅力的な大学だったからです。

もし、「科目の相性は最悪だし日程もキツいけれど、どうしてもここの研究室が気になる」という大学があるなら、戦略を度外視して挑戦する価値は十分にあります。その心から行きたいという熱意は、多少の戦略の不利を覆すほどのエネルギーになるからです。

基本は戦略的に。でも、最後は自分の心に正直に併願校を決めてください。

受験する大学の組み合わせさえ決まれば、あとは迷いを捨てて、その大学の対策に全力を注ぐだけです!編入試験を受けるみなさんを応援しています。

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